コラム

イラスト:鈴木ハルナ


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PostHeaderIcon 相談員コラム…プラチナ

 
 最近、ことあるごとに「今、プラチナが安いから買っておいた方がいいよ」というのだが(2015
年の年頭1グラム5000円だった価格が年末には3700円になった)、どうもピンとこないようで「なるほど買うよ」という人は回りにほとんどいない。金やプラチナなどの貴金属を買うというのは成金の金持ちがする事で品が悪いとでも思っているのか、思いの外に抵抗感が強い。

 実は私もそう思っていた。金の延べ棒やましてやプラチナなんて見たことも触ったこともないし、ジュエリーですら持っていない。そんなものにうつつを抜かすのは俗物だとすら思っていた。要は貴金属の持つ金持ち感、キラキラ、チャラチャラが嫌いだったのである。

 それがFPになって考えを改めた。一般的に「貴金属は資産の10分の1持て」といわれる。その意味は究極の国家リスクヘッジ。金融資産というのは多かれ少なかれ“国家”の制約を受ける。預金しかり国債しかり、貨幣そのものが国の信用がベースとなっている。その点、貴金属は国家を超越している。要するに世界中どこでも通用する“資産”なのだ。ほんの少し前まで金本位制だった。しかも土地のように持ち運びが出来ない資産と違い、ある程度なら持ち運び可能だ。

 貴金属が持つメリットは紙幣や債権、株のように信用がなくなると紙切れになるということがない資産であること。いつでもどこでも国を超えて換金できる流動性があること。そして持ち運びが出来て分けやすいこと。デメリットとしては、金利がつかないこと。盗難の心配があること。

 インドと中国の人の金(きん)好きは有名で、しばしば揶揄される。でもそれはキンキラが大好きな国民性というより、国を信用していないせいだという話をFPの先生から聞いた。国や体制が変われば、土地を奪われ、身ぐるみをはがされるという辛苦を何度も受けたせいで、いざとなれば装飾品として金を身につけ、どこにでも逃げる知恵を身につけたといわれる。だから、貴金属は「国家を信用してない人の資産」ともいえる。

 それまでの金のイメージはやばそうなおじさんのブレスレットや指輪、「マルサの女」の脱税者(山崎努が演じた)の隠し部屋の金塊、そういえば金丸信が逮捕されて床下の金庫からも大量の金の延べ棒がでてきたっけ。それがこの話をきいてから貴金属のイメージが、金の宝飾品を見えないように肌身につけ、小脇に子供を連れ毅然と国を後にする女性の姿に変わったのである。国家に寄らない携帯可能な資産。なんかかっこいい。

 今のところ私が国を出ることはないと思うが、自然災害、人災など何が起きても不思議ではない世の中。何もかも失った時に、ポケットに入れてすぐに逃げられる資産を少し持てば、落ち着いた先での当面の生活費となる。これは絶対に心強い。

 いつかは持ちたいと思い、数年前にプラチナ価格が安くなった時(1グラム2717円)に初めて少しだけ買った(基本的に自分でやらない運用はお勧めしない主義です)。金庫に小さなプラチナバーがあって「いざとなったらあれを売ろう」と思えることは預貯金と違った心の安心感がある。もちろん長期保有は大前提で、売ったり買ったりして利ざやを稼ぐものではない。基本的に安いときに買っておいて、いざというときに売るものなのだ。そして今がプラチナの数年に一度の買い時なのだ(金はまだ高い)。


 さて貴金属の売買はちょっとしたテクニックがあるのでご説明する。まずは税金から。
貴金属の売却益は譲渡所得なので、

●購入後、5年以内で売却した場合(保有期間が5年以内)= 短期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円(特別控除)
●購入後、5年超で売却した場合(保有期間が5年超)=長期譲渡所得
(地金の売却益+その他の該当する譲渡益)- 50万円}×1/2
※地金の売却益=売却価格 -(取得価格+売却費用)

となる。

 肝心なのは取得価格。グラム3500円の100gバーは35万円、それをグラム5000円で売ると50万円で売却益は15万円(手数料は無視)。50万円以下だから税金はかからない。だからそれを買った価格のわかる書類はとても大事だ。

 もうひとつ大事なのは大きさ。地金は100g、500g、1㎏のバーがあり、それぞれ手数料がかかる。小さいほど手数料は割高になるので大きなバーでと思うかもしれないが、上記の譲渡所得の計算式をみてもらえればわかる通り、売却益が50万円までは無税なので、小さなバーで売ればほとんど税金がかからない。ちなみに、資産隠しやマネーロンダリングを防止するために、売却価格が200万円を超すと、買った事業所から支払い調書が税務署に提出される事になっている。逆に言えば売買価格が200万円以下で、売却益が50万円以下なら税金は問題ない。

 今時は貴金属も積立や投信、ETFなどいろんな便利なものがあるが、いざというとき持ち出せないし、小さなバーでもずしりと重い醍醐味がそれらにはない。


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