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イラスト:鈴木ハルナ


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PostHeaderIcon 相談員コラム…貸金庫は宝箱①

 
 東日本大震災が起きてから貸金庫が人気だそうだ。津波で全部が無くなったとしても大事な物が貸金庫に保管してあれば、どんなにか安心だろう。貸金庫については災害や盗難対策に何度かこのコラムでも取り上げお勧めしてきた。でも、良さはわかるけど、誰にもなじみがあるという物ではないし、借りるのも審査があり、初めての人には心理的ハードルがかなり高い。勧めっぱなしもどうかと思うので、もう少し詳しく貸金庫のことを書こうと思う。

 今回このコラムに当たって自分の貸金庫遍歴を数えたら、ほぼ10回だった。会社で経理をやっていたので、たぶん多いのだろうと思う。いろんな貸金庫を使ったという、人にとってはどうでも良いような、私の経験を語りながらこれからの活用法などを考えてみたい。

 まず、私が貸金庫という存在を知ったのは、黒沢監督の「悪い奴ほどよく眠る」という映画であった。その中の重要シーンが貸金庫だったのである。小さな部屋の壁一面が銀色(白黒だったのでたぶん)の鍵穴のついた小さな箱でビッシリ取り囲まれていた。この小さな箱のひとつひとつが金庫なのだ。この映画のイメージが強かったので、最初に借りた貸金庫があまりにも近代的なシステムでビックリした。

 一番最初の貸金庫は新宿御苑にあった太陽神戸銀行(この名前でどのくらい昔かわかる)、近くで印刷関係の仕事をしていて、客からもらった「手形」を入れるために取引銀行に借りたのである。貸金庫は銀行の一番奥にあってカードで入室すると、3つの個室がある。中は白を基調にした小さな事務室風のきれいな部屋で正面にモニター、手前の机に朱肉やペンなど事務用品、脇に台がある。モニターにカードを差し込み暗証番号を入れると、なにやらあっちの方で機械が動いている音がして、しばらくすると脇の台の一部が自動的にスッと開き金属製の箱が現れる。その箱を鍵で開けるのである。

 零細企業で手形の管理は一大事、もし紛失や事故があれば仕事が吹っ飛びかねない。だから、手形と実印を入れて、しかもその場で印を押したり簡単な事務作業ができ、取り立てや割引など現金化するのにも、金庫から窓口に持って行くだけで済む貸金庫はすごくありがたい存在だった。

 次に借りたのは横浜の古い銀行の貸金庫。2つの扉をカードで開けて入室すると、そこはこれぞ貸金庫というたたずまいで、あの黒澤映画の世界。おまけに一番上は手も届かないので頑丈な金属製の階段式のはしごもあるし、金庫の脇には事務作業用の簡単なスペースが2つほどある。ビックリしたのは他の人とたまに会うことだった。基本的に行員は関係なく1人で利用するのだが、入室制限はないようで、他の人がいても平気で入ってくる。きっとモニターで中の様子は監視しているのだが、セキュリティ的に大丈夫なのか? たまに一緒になったお金持ちそうなおばあちゃんに時候の挨拶をされたり「これどうやるんですか?」とか聞かれておもしろかったけど…。

 しばらくして個人でも借りることにして、行ったのが家の近くの仮店舗で営業中の銀行。そこは、窓口に署名捺印した入室届を提出して行員さんに扉を開けてもらうタイプだった。

 このように貸金庫といってもいろんなタイプがある。基本的に古い順に「手動式」「半自動」「全自動」の3つ。私が経験したのはたまたま「全自動」→「半自動」→「手動式」と時代をさかのぼっていたようだ。

 銀行にとって貸金庫業務というのはあくまで顧客サービスのようで、あえて大金をかけて作り直す事はしないので、こうした新旧入り交じった状態になる。ただし「手動式」は絶滅寸前だろう。

 貸金庫の大きさは一番小さな物で幅25㎝奥行き50㎝高さ5㎝ぐらいで料金は月額2000円(税別)ぐらい。大きさの違いは高さで決まり、料金も容量換算で、利用料金は年に一回預金から引き落とされる。また利用時間は窓口が開いている時間という所が多いが、あまりの不便さに時間を延長している所もある。

 実は知ったかぶりで貸金庫の事を書いているが、貸金庫=市中銀行と思い込んでいて(私は思い込みがはげしい)、最近になって信用金庫やJAでも利用出来る事を知った。しかも、利用料金は一番小さなタイプで月額1000円ほどと銀行のほぼ半額。早速、近くの信用金庫に借り直したばかりだ。ただ、残念ながら一番身近なゆうちょ銀行は取り扱っていない。

 さて、個人で貸金庫を借りる方法であるが「大口の優良顧客のみで一般には貸してもらえない」とか「定期を500万円積めといわれる」とか「口座や取引実績が無いと無理」と思われていてハードルが高そうだが、全部都市伝説である。

 物事は需要と供給で成り立っていて、貸金庫もしかりである。平均的都市銀行の支店で貸金庫は5001000個あるそうで、稼働率は50%~90%と言われている。ターミナル駅近くの人気エリアだったら無理かもしれないが、ソコソコ空いている地域なら利用料金が入るのだから貸したいのが金融機関の本音だ。しかも、貸金庫を契機に取引を増やしてもらえれば尚イイと考える。

 その場合、口座があれば給与振り込み口座や年金受取口座、光熱費の引き落とし口座、定期預金などがチェックされる。そういう取引実績があれば無碍に断られることはない。また口座が無くても、貸金庫を契機に口座を作って他から移ってくれれば良いと考えるようだ。おおよそのマニュアルはあるようだが、これは担当者との相対取引なので、金融機関にとってある程度メリット(給与や年金受け取り、光熱費の引き落とし、カードの決済、定期預金、住宅ローンなど)がある条件の提示は必要かもしれない。

 窓口に行くのも良いが、金融機関は人を値踏みするので、まずは電話する。電話対応でその金融機関がある程度解る。私は家の近くの何件かに「口座無いけど、貸金庫貸してもらえますか?」と電話したが、けんもほろろの所はなかった。ただし「300万円の定期預金を」という所と、やけに恩着せがましい所があった。その中で利用料が月額1240円と安く、あまり条件をつけない駅近くの信用金庫にした。コンパクトで簡素ではあるが全自動式貸金庫である。

 次回はこの小さな貸金庫に何を入れるかというお話をしよう。

 


 

 

 

 


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