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イラスト:鈴木ハルナ


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PostHeaderIcon 相談員コラム…高齢出産の妙──年齢差は子供世代の老後に生きる②


  前回は高齢化者社会になることで親を看取る時期がずれ、90歳代の親を看取ると自分自身も70歳代になるという話だった。高齢の子供が超高齢の親を看るのは、自宅介護でも施設介護でも子供に取って肉体的、精神的、金銭的にとてもしんどい。

 そこにいくと高齢出産で親子の年齢差がある場合は、一昔前の70年代の親子関係のままでいられる。例えば40歳で出産すれば親が90歳になっても子供は現役バリバリの50歳で、親を見送った後も自分の老後までには1020年の間がある。自分の老後を親のために捧げることもなく、長生きした親を恨む事もない。これって親子関係の最終局面ですごく良いい。しかもFP的にいうと、お金持ちにとっても貧しくてもどちらにも良い結果となる。

 まずお金持ちの場合、自分の老後が不安な高齢者は「万一のため」と言いつつお金は使わず貯め込む。平均3000万円ともいわれる小金持ちの高齢者の金融資産が死んだときが一番多いと言うのはそういうことだ。年齢差20年の親子の場合、親の金融資産を自分が手にするのは70歳代の相続時となる。もはや子育ても終わり大きな出費を伴う消費はしないし、親世代と同じく自分の老後のためのタンス預金となり死蔵されるだけである。

 一方、高齢出産し40歳近い年齢差がある親子の場合は、相続時に子供は50歳代になる。50歳といえば現役の活動期で、実際に相続した金融資産は住宅ローンの繰り上げ返済や子供の教育費、買換時になる耐久消費財、ゆとりができたら行ってみたかった旅行など大型消費に使われる。子供世代にとってとても生きたお金になる。同じお金でも受け取る時期によって死んだお金になったり生きたお金になったりする。

 一方、親世代が貧しい場合である。まわりでも年金で足りない分を子供が仕送りするケースは結構あり、特に施設介護の費用を子供たちが負担することが多い。2017年度版の厚労省「高齢社会白書」によると、18歳以上の子供や孫がいる60歳以上の人のうち、20.8%が子や孫が生活費の一部を負担しているそうだ。60歳以上の一ヶ月の平均収入は「10万円以上、20万円未満」が一番多くて32.9%。足りない分を子供が負担している場合では6064歳の男性が一番多くて34.6%。この年齢の方の親というと80~90歳ぐらいの介護世代だ。
 

 親が70歳代で仕送りを始め90歳代の長生きならほぼ20年も子供は仕送りを続けなければならない。親子の年が近ければ自分の年金すら親への仕送りに使われることになる。高齢社会というのは親子関係が長くなるということで、これを何十年も続ければ子世代は疲弊してしまう。

 そこにいくと高齢出産でほぼ40年の年齢差がある場合は、親世代に仕送りするにしても現役でバリバリ稼いでいる時期になる。もちろん、教育費や住宅ローンは抱えているかもしれないが、自分自身が現役で稼いでいる時期の仕送り数万円と年金生活になった時の仕送り数万円は同じお金でも子供世代の負担感が大違いだ。

 誰だって死ぬ時期はわからないし、どんなに子供に世話になりたくないと思っても、長い短いはあってもいつかは介護期が来る。その時に高齢出産で子供が若いというのはとても恵まれた事だと思う。高齢になれば、認知症にならなくても判断力や決断力が衰え、まわりへの配慮はだんだんなくなっていく。要は程度の差はあれ自己中、わがままになる。それを受け止めるのが50代の子供か70代の子供かは、親にとっても実はすごく大事な事だろうと思う。

 私自身それを狙って高齢出産したわけではないので結果論だが、高齢出産は子育て期は大変だが、最後にいいことがある。意図したわけではないので、これぞ高齢出産の「妙」だ。親子関係だって終わりよければ全て良しだ。


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